週末の零例稽古メモ。
この日も大勢のチビッコとママさんたちが。
個別のやかましさが重なり合って、何の音だか全く分からないただのノイズに。
我々の話し声さえも打ち消され、聞き取りにくくなった。
目を離されたガキどもは走り出す。
そうなんだよな、ガキは広いトコに出ると走らずにはいられない生き物なんだよなぁ。
無防備に突っ込んでくるガキどもがいるのを無視して、武器の稽古をする。
先週に引き続き、木刀で剣術の基本の型をやる。
日本の剣術と形意拳の刀の使い方での違いは数多くあるんだろうけど、そのうちの一つ。
腰の使い方について。
形意拳では攻撃の後、後ろ足を引きつけるのと同時に強く足踏みをする跟歩(こんぽ)と呼ばれる歩法を行う。その際、腰骨は後傾(って言うのかな?尾てい骨の先端を前方に押し出すカンジ)している。
一方日本の剣術では腰骨を前傾させる。
ちょうどお尻だけを後に突き出した状態。素でやると変な格好だけど、袴姿でこの姿勢を取るとカッコイイ。「袴腰」って言うぐらいだし。
いやまあ、カッコは置いておいても、この姿勢を取ると、振り下ろした木刀にいい感じで体重が乗る。
なるほど、それで斬れるような術理になってるんだね、きっと。
両者は全く逆の腰の使い方をしていると言うわけだ。
で、だ。
密度は兎も角、長いことやってるだけあって、形意拳の腰の使い方はそこそこできるようになっているんだけど。剣術は、剣道を含め、全くやったことがない。
ちょっとでも気を抜くと、すぐに形意拳の腰になってしまう。
さらに油断すると、空手の前屈立ち(前足を深く曲げ、後ろ足をまっすぐ伸ばした姿勢)になってる。
剣術では刀の重さがあるからか、前方に重心を置くことは無いらしい。斬れりゃいいけど、外された日にゃあ次の動作が遅れるんだもんあったりまえだよな。
これでは全っ然日本の剣術ではない。
ムキー、となりながら延々と独りで型を繰り返す。
携刀(左手に刀を持ち、自然に手を下げた状態)
↓
帯刀(腰の高さに刀を上げる。刀を腰に差した状態)
↓
抜刀して右足を一歩進めて正眼。(握り方と木刀の先端を喉の高さにすることに注意)
↓
左足を一歩進めて八双。(制定は手をアゴの横に、古流は耳の辺り?)
↓
右足を一歩進めつつ、切り下ろす。
・振りかぶらない(後へのけん制はこの限りじゃない)
・地面と平行になるまで振り下ろす
・袴腰で。もちろん形意拳のように跟歩しない。けど継ぎ足はする。
・手の内を絞る(親指方向に。槍のときとは逆)
もー考えることが一杯。てか考えてる時点で駄目の駄目駄目なんだけど。
木刀握って、正眼になっただけで全身から汗が噴出す。
いくら蒸し暑いってもこれはないだろう、と自分でも思った。
自分の両腕が、見る見る汗まみれになってくの。どっか壊れたのかと思った。
久しぶりにAくん登場。
「おお!久しぶり!」
「どーもー」
「えーと、教採(教員採用試験)どうだったの?連絡しようと思ってたんだけど」
「今日がですね!二次試験の日なんです!」
時計を見る。
午前11時。
Aくんの姿を見る。
ラフな格好、肩には道着の入ったリュック。
「んー・・・・・・。お疲れ様でした!」
「今から来年の勉強始めてます!」
いやはや、残念でござった。
お祝いのアサヒビール園工場見学はまた来年ですな。
AくんはM氏と柔道の打ち込みを。
私は前述の型を繰り返す。
キックミットでローキックの打ち込み。
ミットが安物だから、そろそろ受けるのがキツくなってきた。
珍しくハイキックの打ち込みも。
足が上がらないわ、気合いれたら硬直してかえって威力が落ちるわ、酷いもんでした。
Aくんに頼まれて、中断の突きを連打。
Aくんはそれを受けて投げに入る練習をしたいらしい。
左の突きを受けて、内回りに絡みつくように脇を差してくる。差しきったところを上から見ると、るとちょうど「ハ」の字の位置関係になる。こちらの左腕は、相手の右腕に絡め取られているから逃げられない。
そこでAくんとしては投げを打ちたいようなのだけど、こちらはまだ右手がフリーだし、間合いも申し分ない。
次の動作に入る前に、一発か二発は打てる。
もちろん彼もそのまま打たせてはくれない。防御してくる。
防御に気がそれれば、ホールドも甘くなるので逃げ出すことも可能になる。
引っこ抜いて間合いを取って、接近して連打して・・・以下繰り返し。
「のんたろうさんを、投げたぁーい!」
「投げれるじゃん」
「投げれるじゃん」
M氏と二人で突っ込む。
どうやら、打撃をかいくぐって投げ、ってのを極めたいらしい。
柔道ルールなら刹那も持たずに宙を舞うこと疑いなしなのですが、総合ルールで、ってことらしい。
それだって前やってたのにねぇ。
右手の突きに対して、何を思ったのか急に腕を解き、回転するAくん。
左の回転肘打ちを出してきた。
流石にちょっと遠いし、当たらないんじゃないかなぁ。
案の定、見当違いの方向に突き出される肘。
だがしかし、肘の出された位置ってのが私の右拳が狙ってた場所で、打った拳は止められなくて。
ベキッ
一瞬、折れたか、と思うようないい音が右拳の人差し指からした。
ピコピコ。
大丈夫、動く。折れてない。そのまま稽古を続ける。
ついでに寝技の稽古も少しだけ。
ハーフガード(片足への二重がらみ)からのスイープ、つまり、相手に押さえ込まれかけてるときにどうやってひっくり返すか、って技の練習もしてみた。
定例稽古とは別に、柔術の人に教えてもらってる技「オールドスクール」をちょいと試してみたかったんだけど。
Aくんにお相手を願う。
「二重がらみ、取らせてね」
「そして、ボクはどうすれば?」
「えーとね、じゃあのしかかってみて」
「いいんですか?いいんですか?行きますよ?そりゃあ!」
「むぎゅ」
技どころか、動くこともままならない。
私だって無駄に体重があるほうだが、さらに3,40キロ重い人を上に乗せちゃ何にもできませぬ。
「例えるなら、芯に鉛の詰まった羽毛布団を被せられたかのような」
「水銀の詰まった布団とか」
「どっちにしろ、身体に悪そうですね」
M氏の発案で、3人がけをやってみる。
一人に対して次々掛かっていく、空手などで言う「X人組み手」をもう少しお手柔らかにした感じなのだけど。
あっという間にスタミナ切れ起こして気持ち悪くなってしまいました。
んー、もともとスタミナは無い方だけど、これは酷い。
生活も落ち着いてきたし、また少し歩いたり走ったりするかなぁ。
家帰っていい音がした右の人差し指に湿布を貼る。
少し稼動域が狭くなって、力を入れると痛いけど、まあいつもの突き指程度でしょう。
PR