いつもの焼き鳥屋、大吉で呑んでた時のことだ。
その日の有線は、いつもと違うチャンネルに合わせられていて、洋楽邦楽のちょっと古めのからものすごく古い曲までがごちゃ混ぜに流れていた。
「懐かしい曲ですね」
洗いものをしながらバイトのまろたろうちゃんが話しかけてくれた。
「えー、この曲知ってんの?」
確か、この曲が発表されたのはずいぶん前で、それこそまろたろうちゃんが生まれる前とかじゃなかったっけ。いやまあ、名曲だと思うし、確かにスタンダードナンバーっぽくあちこちで使われているけれど。
「知ってますよ。何かのドラマで使われてませんでしたっけ?」
「あー、そうなんだ。それこそ知らんかった」
我ながらテレビの話題には弱いなあ、と思いながら前々から考えてたことを聞いてみた。
「じゃあさ、この曲の、サビの部分の歌詞、分かる?」
「・・・分かんないですよ」
「ええと、たぶんさ、『I just call to say I love you』だと思うんだけど、意味知ってるかな、と思って」
完了形の可能性や過去形の可能性も考えたけど、そこまで聞き取れてなかったんでテキトーに言ってみました。先ほどググったら、『called』だったみたいです。
「call・・・呼ぶ?・・・私は愛してると叫ぶ!」
「いや待て、callには他にも意味があるだろう。てかto sayを無視すんな。to不定詞の3つの用法あったじゃん!名詞的用法形容詞的用法副詞的用法!」
「日本語に聞こえない・・・」
とかなんとかありまして。
「いやまあ、アタシも歌詞カード見た訳じゃないんですけど。多分、『愛してるって言いたくて、ちょっと電話してみました』とかそんな意味なんじゃないかな、と」
ワタクシとしては、そこに色んな物語を思わせる、実にロマンチックな歌詞ではないか、とかそういう話をしたかったんですが。
「直接言わないんですね」
「はい?」
「好きなら好きって、直接言うべきだと思うんですよ!」
「ええー、今時の若者の口からそんなこと聞かされるとは思わんかった。メールで告ってメールで別れてなんて、めずらしくもないもんだと」
「そんなことないです」
「何々、何の話ですか~?」
マスターの奥方、M子さんも会話に加わってきた。
簡単に状況を説明する。
「直接言わないんですねぇ」
おんなじこと言った!
「そういうのは、直接言わなきゃダメですよ!」
いや、そういうのは旦那に直接言ってください。
歌詞の全体を知らない、てかそこまでのヒアリング(リスニング?)能力はないから、ってのもあるんだけど、そう至るまでの心情だとか背景だとかを想像するのが味があって楽しいもんだと思うんだけど。
どうも女性、少なくともこのお二方にとってはその辺のことはどうでもいいらしい。
いやまあ、そういうのはアメリカ人ばりに、はっきりと口にするべしという知識は持ってたけど、実感として腑に落ちたよ!
ロマンなんて幻想は、男だけのもんなんですかねぇ。
もしもオレがスティービーだったとしたら、こんな突っ込み入れられたらきっと凹むなあ。
いやありえんけど。
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邦題がたしか・・・
2009/05/05(Tue)20:27
超訳にも程がありますな…。シドニィ・Sノヒトカ?
ソウル好きの私にとって彼は避けて通れないお方。
のんたろうさんの解釈、とても良いと思ふ。
「女子供には解らんのだよ!」と言い放ちましょう。
No.1|by メガネ|
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