ガッコに関係のないものを持って来ていきがるってのは、古今を問わず繰り返し行われてきていることなんだとは思う。マンガとか、おやつとか、音楽を聴くためのアレコレ(昔はウォーkマンでしたが)、最近ではこれに携帯電話が加わるのだろう。
私の仕事場をウロウロする連中の中には、これ見よがしにそれらをひけらかすのがいる。
あー、ガッコのルールを破んのがカッコイイ、楽しい、とか思ってんだろうな。
馬鹿馬鹿しい。
「やっちゃダメ」って言われてることをわざとやって、大好きなママに叱ってもらうのをウキウキしながら待ってる3歳児と、本質的にはなんも変わらん。
未成年がお酒飲むのもタバコ吸うのも同じ。
あんまりにも馬鹿らしい、と思って抑えが効かない時には言っちゃうこともある。
「う~ん、そうでちゅかぁ、おちゃけ飲めたんでちゅかぁ、オトナみたいでちゅねぇ、オトナになった気分でちゅかぁ、ちゅゴイでちゅねぇ~」
たいてい、そう言われるとどいつもこいつも表情が固まる。
「・・・ムカツク」
それすらテンプレだ。どこまで創意工夫がないんだか。ジョセフ・ジョースターなら「お前の次のセリフは!”ムカツク”と言う、だ!」とかって迎えるところだ。
待ってた通りの答えだ。にっこり微笑んで答えてやる。
「うん、そう!ムカツクように言ってやったからね!」
できるだけ、満面の笑顔で言ってやるのがポイントだ。
幸いなことに、今のところまだ殴られたことはない。
ま、それはさておき。
先日、うひょうひょ笑いながら、ガムかなんかを配り始めた女の子がいた。
「そんな香料の強いもの、センセイが来てから慌てて隠したってすぐばれてしかられるよ?」
そこにオレがいたら、オレの立場も危ういではないか。そんなつまんないことに巻き込まんでくれ給え。
「いいもーん、ばれて叱られたってカンケーないもーん」
ムカッとした。
おちょくられたことにムカついたのかな、と思って考えてみるが、あんまりバカにされた感じではない。
じゃあ何に対しての苛立ちなのか。
ああ、アレだ。
話は変わるが。
おがきちかさんの描いたマンガに「エビアン・ワンダー」という名作がある。
主人公(別嬪さんだけどひねくれ者)は悪魔との間になしたとある契約の代償として、極悪人の魂を狩り集めねばならないという負債を持つ。そんな旅のさ中、人体実験をするマッド・サイエンティストを襲撃(?)し、生き残りの少女と赤ん坊を助け出し、仕方なく近くの町まで連れて行く。
その道中での、少女と主人公との会話。
「ルールってなあに?あの時言ったでしょ『ルールはひとつ』って」
「強いヤツが勝って、弱いヤツが死ぬってルールよ。簡単でしょ?」
「お姉ちゃんみたいに、私も強かったらよかった・・・」
「そーね。これからは、自分でなんとかしなさい!」
「うん」
「でも、あの男は、あなたやあなたの友達だったメラニーやジルにそのルールを強いた。だからそのルールに従って死ぬの。そんな風に死にたくなかったら、そのルールのことは忘れなさい」
あの男、ってのは人体実験してたマッドサイエンティストのことね。
じゃあそうじゃない生き方にはどんなものがあるのか。
主人公のセリフを受けて、主人公になぜかつきまとう、黒衣の武闘僧が答える。
「人の道には神の教えがある。君にはそっちのほうが合ってるだろう。助け合えば、強くならなくとも生きていけるんだ」
うんざりした顔の主人公。悪魔と契約してるから神とは折り合いが悪いんだろうけど、この人はそういうのとは関係なく、基本的にこういう考え方がダメなんだろうね。黒衣の武闘僧は気にせず少女に語り続ける。
「弱いものを助けなさい」
「この人は君を助けた。君はお礼を言ったね。そういう風に巡るのが神様のルールだ」
なるほど、神様云々は別として、とてもシンプルな考え方である。
ルールの外にいることを誇示する人間ってのはあちこちにいるけれど、いつか自分より強いものに狩られる日が来ることを覚悟してるヤツは見たことない。もちろん、来るべき日に備えて訓練を欠かさない、ってヤツも。
ルールの外に出るのなら、その程度の覚悟は是非していただきたい。
それがアウトローってもんだろ?
目的のために、一時的にルールを破るってのは、また別の話だと思う。
その狡猾さは見習うべきであり、同時に唾棄すべきものでもある。
それをうまく使い分けるのが大人だ(偏見)!
話を元に戻そう。
量の多寡、質の高低があるにせよ、かなりのレベルで守られてるなぁ、と思う子どもがいる。
ちなみに、私が言うところの最低レベルで守られてない子どもの例としては、銃を持たせられて兵隊の一人として人殺しをさせられているような子どもが挙げられる。
どれだけの善意に守られてるかも顧みない。
親が子どもに色んなものを提供するのは、善意以外の何物でもないよ。
少なくとも、君らが思っているほどに自明の理ではない。
当然、その善意の外に出て生きてられるだけの力も才覚も持っちゃいない。
勉強ができないからって、メシ食わしてもらえないことなんてないだろ?
教科書に載ってないこと、センセが言ってないことがテストの大部分を占めることはないだろ?
そんなフェアな勝負、学校出たら全くもって全然無いから!
端的に言えば、現状のお前の能力で、金稼げんのか?って話。
金を稼ぐのが偉いというわけではないけれど、さ。
時間までに職場に着いて、就業時間内に格好のつくよう仕事を仕上げて帰る。
それすらも、アンタ、怪しいじゃん。
誰がそんな奴にオゼゼを払うっていうんだか。
そうだ、そんなこんなを全く考えもしないで、いい気になってうひゃらうひゃら笑ってるその態度にムカついたんだ。
「カンケーない」だと?
手前ェがそうやってグダグダして、クズみたいな大人になったら無駄に社会保障費がかかるだろう。
オレ様ちゃんが可愛がって育てた(?)子どもたちが暮らす世の中が、暮らしにくくなるじゃないか!
ましてや私の友人知人に直接迷惑がかかるような事態になったら、「生まれてこなきゃよかった」って思うような目にあわせますよ?
「カンケーない」なんてことは微塵もないし、それを偉そうな態度で言うってことは、単に、頭が悪いのでそこまで思考を馳せることができません、ってだけじゃないか。
もっと恥ずかしそうにしたまえ。
真面目にやってる子を指して、「温室育ち」みたいなことを言ってバカにする人がいるけれど。
あたしゃガッコの決まり破って悪いことしていい気になってる連中の方が、よっぽど「温室育ち」だと思う。
わがまま言って好き勝手やって、見逃してもらえてるのって甘やかしてもらってるだけだぜ?
しでかしたことの責任なんて取ったことないだろ?そんな能力もないだろうけどさ。
あ、責任取るってのは代わりに痛い目に遭うか、相応のお銭(ぜぜ)を支払うことね。
ガッコの先生たちはやさしいから構ってくれるけど、フツーの人は、よっぽどの友達でもなけりゃンな奴からはどんどん離れていくよ。利益もなけりゃ、面倒なだけだしね。
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