テレビを見てると、とある時代劇をテーマ(?)にしたパチンコ台のCMが流れた。
今はもうやってないシリーズだが、ちょうど私が中学生くらいのころ再放送も含めてかなりの人気を誇っていたと思う。いや、もしかすると私の周囲数メートル圏だけかも知れんが。
うん、まあパチ台にされるってこと自体あんまり面白くは思えないんだけど、その辺は色々と事情もあるんだろう。とやかく言えるほど、貢いでないしね。
気に入らないってほどでもないのだけど、たとえるなら靴の中に入った小さな小いさな石みたいな落ち着かなさを感じることがある。
そのシリーズの、看板キャラクタがいる。
いや、厳密に言えば、もっと魅力的なキャラクタは山ほどいるのだが、おそらく一番知られているのは確かにその人だと思う。
CMでは、そのキャラクタ(の当時)の映像が繰り返し流れる。
振り上げた刀を鋭く振り下ろす、まさに「必殺!」な映像だ。
だがしかし、私は思うのだ。
この人、劇中でまっとうな剣戟繰り広げたことって、どれくらいあっただろう?
私の記憶の中のこの人は、クライマックスに悪人の元に、闇にまぎれて表れる。
夜半に忍び寄る曲者に、悪人は警戒する。
だがしかし、そこにいるのは八丁堀同心の中でも、昼行灯(ステキな言葉だ)で有名な中年男である。
「なんだ、キサマか」
「はい、お役目、ご苦労様です」
へりくだるその姿に、気を緩める悪人。
「フン、ここはもうよい。さっさと他所を見回って来い」
きびすを返したその時。
ずぶり。
昼行灯はいつの間にか近寄り、悪人のわき腹に脇差を突き立てている。
驚愕の表情と死相を浮かべる悪人に、ぼそりとつぶやく中年男。
「お前以外はなあ、全員お前じゃねえんだよ」
最後のセリフは全然別のマンガのネタですが、このCMで前面に押し出されてるキャラクタって、私にとってはこういうイメージなんだよなあ。
確か劇中でも、刀研ぎの職人に
「旦那の刀は・・・固いものに打ち付けられたことのない刀だ。・・・柔らかいものを何度も・・・おっと、これ以上は言わぬが華」
とか言われてたシーンがあったような。
いや、もちろんフツーに切りあっても強いのは知ってるんですけどね。
真正面からやり合っても十分強いのに、そこでさらにこれでもか、ってくらいに卑怯だったり姑息だったりするのがまた良くてねえ。悪人への「仕置き」って感じがして
ひょいと相手の腰から刀を抜いて、それでずぶり、ってシーンも多かったように思う。
あのCMだと、普通に剣の達人て感じで、このキャラクタの持つ味わい深さが値打ち半減してると思うのですよ。もちろん上記のような卑怯さをCMで表現するのは難しいし、パチンコやる人の大部分にとっちゃンなキャラクタの魅力なんて関係ないんでしょうけどね。
出りゃいいんだろ?
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