父に呼び出されて実家に帰った。
ウィルス対策ソフトを導入したらネットにつながらなくなった、という。
で、仕事が終わってから帰ってみたら姪っ子ズが泊まりに来ており、早速勝負を挑まれた。
「のんたろうちゃん、勝負だ!」
「勝負だ!」
挑まれたからには応えねばならぬ。
「ふははは、かかって参れ!」
・・・疲れてんだけどなあ。
あ痛たたたた。
噛むなって。
痛いけど我慢する。
「んー、全然効かんわ!」
子供ってテンション高いなあ。
色んな構えを見せてやると面白がって真似するので、何手か教えてみた。
ええと、どうして「崩拳」が「追い突き」になっちゃうの?
姪っ子ズの身長でストレートを撃ち込まれると、実に洒落にならないところに当たってしまうので、さりげなく防御。派手に防御すると、そこばっか狙われるからね!
ふと思いついて、合気系っぽく姪っ子の突きを受けてみた。
くるん。
いやあ、子供ってのはバランス悪いのね!
びっくりするくらいよく飛びました。
頭と身体だけは怪我しないようにフォローできたけど、流石に足までは届かなかった。
すぐ近くにあったテーブル上のコップをなぎ倒してしまい、母に叱られました。
・・・うう、この歳になって親に叱られると恥ずかしい。
以下、ちょっと毒づいてる話なので、元気じゃない人は読んじゃダメ。
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で、父からの依頼の件。
PCがネットにつながらないのをどうにかしてくれ、って話。
「元々入ってた同じようなソフトが立ちあがっちゃっているみたいなんだよな」
あれ、前の話じゃ何にもインストールされてないんじゃなかったっけ。
だから買ってきて、インストールしたって言ってなかった?
「こないだいじってたらな、なんか別なのがインストールされちゃったんだよ」
・・・はあ、どうして適当な操作するのかなあ。
「で、それが同時に立ちあがっちゃってるみたいで。ほら、ここに変なマークが」
父よ、それはアイコンというものですよ。何年PCいじってんですか。
「二つのウィルス対策ソフトが、干渉しあってるみたいなんだよな」
・・・父よ、そこまで分かってんなら俺を呼ぶ必要あんのかい。
アンインストールすればいいでしょ。
「アンインストールの仕方が分らないんだよなあ」
父の手元の買ってきたソフトの説明書をのぞき込む。
・・・書いてあるじゃん。一般的なソフトのアンインストールの仕方、って。
「いや、できないんだよ」
やってみなよ。
「スタートボタン押すだろ・・・で、これか」
いや、コントロールパネル開け、って書いてあんのになんで関係ないソフト立ち上げてるのさ。
「ああ、そうか」
で、プログラムの追加と削除、って奴を選ぶのさ。
一覧出たら、削除したいやつを選んで・・・
「次へ、でいいのか」
いやいや、そのままじゃただの設定変更だって。
その下に削除する、って出てるじゃん。
何で説明書に書いてある通りにやらないの。
何で画面見ないで先に進めようとするの。
てか人に説明させておきながら、テレビのボクシングだか何だかの中継に視線を度々移すのって、どうなのさ。そのうちジッと見始めるし。オレ、帰っていい?
「あ、変なマーク消えた」
ええ、ええ、削除しましたもん。
書いてある通りにやったから、書いてある通りになっただけですよ。
「ああ、繋がった繋がった。ありがとな」
オレ、結局なんもしてないんスけど。
さて、仕事も終わったし、姪っ子ズも寝たし、そろそろ帰るわ。
「ああ、お前のブログな」
あー、生存報告がてら、この日記のアドレス教えたんだっけ。
うふふ、照れちゃ・・・
「なんか、訳わからんな」
ああ、まあ父には皆目見当もつかない言葉とか、説明もなしに使うからねぇ。
「ミミズが鳴いてるみたいな、訳のわからん文章だな」
・・・ああ、思い出したよ。
そうだ、そうだった。
こういう人だったよな。
子供のころから、何度もこの手の言い方で、心底へこまされてたんだっけ。
うわ、すんげえ恥ずかしくなってきた。
そうだ。
覚えてるぞ、この感じ。
顔がほてって、胸が苦しくなって、涙がにじんできそうになる感じ。
うわー。
仕事して疲れてんのに駆けつけて、晩飯も弁当で済ませて、PC見てみりゃトラブルってほどでもない話で、挙句こんな言われ方すんのかよ。
何それ?
だがしかし、歳月は人を成長させる。
子供の頃なら文句なしにへこんでたであろう今回の物言いも、現在のワタクシの気持ちをへし折ることはできなかったのさ。って大袈裟だけど。
「フン。言ったね。
ミミズ、って言ったね。
よおおし、分かった。
二度とパソコンの取り扱いなんて教えてやんねぇ。
ええ、ええ、教えませんとも。
ミミズから教わることなんざ何ひとつないでしょうから。
はっはーだ。
がんばってねー」
てな感じのことを、満面の笑みで言ってやりました。
いや、実に大人げないですな!
・・・どっちも!
毒、ここまで。
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父からのああいう言われ方、ってのも私にとっては子供のころからのひっかかりなんだろうな、と思う。
以前ちょっと書いた、「爆弾」ってヤツ。
昔から、自分が作ったものに「ナニこれ」みたいな評価をされることに、過剰に反応してしまうところがありまして。我がことながら、なんでだろう、とずーっと思ってはいたのですが。
たぶん、覚えている以上に何度も何度もこの手の言い方でへこまされてたんだろうな、と今回の件で感じた。
根拠も証拠もないけど、腑に落ちた。「あ、これか」って感じ。
変に自信を持てないところも、同じ根っこなのかもなー。
全然違うかもしれないけど。
言ってる側に悪気がないことは分かる。
ただ、無神経なだけだろう。
それ自体咎めだてする気はないし、しても仕方ない。
子供のころと違って、へこまずに言い返せるくらいの強さはあるみたいだし、原因もなんとなく理解できたような気がするから、今までよりはマシにこの「爆弾」と付き合っていけるんじゃないかなあと思う。
これも根拠はないけど。
お口直しに。
帰り際、寝床に入った姪っ子ズに挨拶しに行った時のこと。
「んじゃ帰るねー」
「えー、帰っちゃうの?泊っていけばいいのにー」
「だが断る!」
もちろん姪っ子ズは岸辺露伴なんか知るわけがないのだが、急に真剣な顔と大きな声、同じ会話を何度も繰り返すのが面白いらしく、きゃらきゃら笑ってくれる。
ところがこのときは姪っ子2号が反撃をしてきた。
「断るを断る!」
ほほう、やるじゃないか、幼稚園児。
「だがそれを断る!」
「それを断る!」
「さらにそれを断る!」
「それを・・・・・・
あんまり何度も繰り返して興奮させると寝付けなくなっちゃうよな、そろそろ止めようかな、と思ったときの姪っ子2号の言葉。
「でさあ、断るって、ナニ?」
子供には、勝てない。
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