とある塾講師の話だ。
彼は、物覚えの残念な(婉曲表現)生徒が圧倒的多数を占める集団を担当している。
残念なだけなら兎も角、不躾で我侭で小ズルくて、畏れを知らずに短絡的な行動の数々で数々のトラブルを引き起こし、挙句の果てに馴れ馴れしいとくる。
少なくともあたしゃあの集団を担当できない。
とっくの昔に泣かしてるか、殺気で潰してるか、私自身が塾を飛び出していることであろう。
「大変でしたね」とか
「僕なら椅子を投げつけてます」とか言って、その労をねぎらっていた。
不意に、彼は応える。
「ある意味・・・」
一瞬の間をおき、満面にやや引きつり気味の笑顔を浮かべて続ける。
「毎回毎回、教える喜び、分かってもらえた時の喜びを味わえる、ってことですよね」
どんだけポジティブシンキンなんだね、君は。
PR