そういつもいつもできるわけではないけど、集中できた時って、まるでプールかなんかの底の方にまで潜ったような感じがする。
自分と、集中すべき対象と。
あるのはそれだけ。
必要な情報だけが入ってきて、余計なものは一切感じ取らない。
その静けさが、まるで子供のころに潜ったプールの底みたいで。
集中を解いた時に音が戻ってくる感じも、プールと同じだ。
中高生のころどうだったかは流石にもう思い出せないけれど、その静けさを意識するようになったのは、二十代の終わりごろだったと思う。いや、三十過ぎてたかな?
試験の類からは少し疎遠になってしまったけど、仕事では結構重宝してる。
塾生のテキストを採点するとき、特に数学の証明問題の採点の時には間違いなく「潜行」している。
証明問題はどんな優秀な生徒も、解答書通りには答えていない。もちろん、ポイントさえ抑えていれば一字一句同じである必要は全くないし、時には別ルートの正答だってアリだ。
正誤の判断をするためには、どうしてもそこに書かれた回答者の思考を辿る必要がある。
しかし、ウチの塾のシステムの都合上、のんびりじっくりと字面を追う時間は無い。
必死に色んな手を試してみたけど、私にとっては「潜行」するってのが一番手っ取り早いようだ。
採点してる最中に生徒から質問されると、深いところから無理やり引っ張り上げられる感じがして、ちょっとだけ苦しかったりするところも面白いなあ、と思う。
先日、テキストを採点しながらふと気がついた。
ん?潜る?
こんな風に下を向きながら、四角い何かに潜ってたの、最近どっかで見た気が…。
ああ、「ハチワンダイバー」だ。
我ながら面白いたとえだよなーとか思ってたら、なーんだ。
まるきりそのままじゃないか。
そう言えば、こないだ借りて読んだんだっけ。
気がつかないうちに元ネタにしちゃってることってあるんだなー。
誰かに言わないでよかったわ。
ハズカチイ。
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